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◆ 2016 年 3 月期は、円安効果もあり増収・営業増益
2016年3月期の連結売上高は2,105億1百万円(前期比32億46百万円増)、営業利益は176億92百万円(同 8億10百万円増)、経常利益は176億23百万円(同2億77百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 108億99百万円(同7億60百万円減)となった。営業外損益については、前期は為替差益14億87百万円を計 上したが、当期は期末にかけて急激に円高が進行したことにより為替差損1億24百万円の計上となり、差し引き で16億 11百万円悪化した。また、米国子会社マディコ社の経営合理化に伴う特別退職金、同じくマディコ社にお ける企業年金制度の一部廃止に伴う退職給付制度終了損、リンテック・インドネシア社のストライキに伴う未操業 損失で、8億35百万円の特別損失を計上した。
売上高の内訳は、単体が1,644億86百万円(前期比28億16百万円増)、連結子会社が905億15百万円(同 30億24百万円増)となっている。単体においては、スマートフォンなどの需要効果により、半導体関連粘着テープ や積層セラミックコンデンサ関連テープが伸長したほか、シール・ラベル用粘着製品が飲料、医薬・化粧品用を中 心に堅調に推移した。連結子会社においては、中国やアセアン地域の景気減速の影響を受けてシール・ラベル用 粘着製品が減少したが、スマートフォンなどの需要効果によって、半導体関連粘着テープが台湾、韓国、中国など で伸長した。また、積層セラミックコンデンサ関連テープが中国で伸長した。なお、円安による増加影響額は約 48 億円となった。
営業利益の内訳は、単体が99億65百万円(前期比31百万円増)、連結子会社が72億37百万円(同1億40 百万円増)となっている。単体の増益要因としては、販売数量の増加および売上構成の改善で約11億円、円安に よりパルプ価格の調達コストが上昇したが、石化原材料や燃料コストが下落したため、差し引きで約9億円、さらに 原価低減効果などで約4億円となった。一方、減益要因としては、販売単価の下落で約4億円、研究所新棟建設 などによる固定費の増加で約20億円となった。連結子会社については、半導体関連の海外販売子会社が堅調に 推移したものの、マディコ社、リンテック・インドネシア社の業績悪化により低調に推移した。なお、円安による増加 影響額は約17億円となった。
◆電子・光学関連が伸長
印刷材・産業工材関連の売上高は876億38百万円(前期比8億74百万円増)、営業利益は27億85百万円(同 92百万円減)となった。売上高の内訳は、印刷・情報材事業部門が541億45百万円(同1億82百万円増)、産業 工材事業部門が334億93百万円(同6億91百万円増)となっている。印刷・情報材事業部門については、シール・ ラベル用粘着製品が、海外では中国、アセアン地域の景気減速の影響を受け減少したが、国内では飲料、医薬・ 化粧品用などを中心に堅調に推移した。産業工材事業部門については、ウインドーフィルムが中国の景気減速の 影響などもあり低調であったが、二輪を含む自動車用粘着製品はインドを中心に堅調に推移した。
電子・光学関連の売上高は854億22百万円(前期比22億14百万円増)、営業利益は105億62百万円(同4
7966 リンテック
西尾 弘之 (ニシオ ヒロユキ)
リンテック株式会社社長
2017 年 3 月期は増収増益と大幅増配を見込む
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億90百万円増)となった。売上高の内訳は、アドバンストマテリアルズ事業部門が437億13百万円(同18億60 百万円増)、オプティカル材事業部門が417億9百万円(同3億53百万円増)となっている。アドバンストマテリア ルズ事業部門については、半導体関連粘着テープがスマートフォンなどの需要効果により大幅に伸長したが、半 導体関連装置は台湾市場で減少した。また、積層セラミックコンデンサ関連テープは、スマートフォンや自動車用 などの需要効果により大幅に伸長した。オプティカル材事業部門については、液晶デ ィスプ レイ関連粘着製品の 中小型用途がスマートフォンなどの需要効果により堅調に推移した。
洋紙・加工材関連の売上高は374億40百万円(前期比1億57百万円増)、営業利益は43億3百万円(同3 億6百万円増)となった。売上高の内訳は、洋紙事業部門が169億88百万円(同5億99百万円増)、加工材事 業部門が204億52百万円(同4億42百万円減)となっている。洋紙事業部門については、主力のカラー封筒用 紙が堅調に推移したほか、耐油紙がコンビニエンスストアやファストフード店向けなどの需要効果により伸長した。 加工材事業部門については、炭素繊維複合材料用工程紙が航空機用を中心に堅調に推移したが、剥離紙・剥離 フィルムは粘着用、FPCカバーレイ用、光学用などの需要が低迷し減少した。
◆ 2017 年 3 月期は、円高の影響があるものの増収増益を見込む
2017年3月期の連結売上高は2,150億円(前期比45億円増)、営業利益は200億円(同23億円増)、経常利 益は195億円(同 19億円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は135億円(同26億円増)を見込んでいる。 売上高の内訳は、単体が1,703億円(前期比58億円増)、連結子会社が880億円(同25億円減)となっている。 営業利益は、単体で134億円(同34億円増)、連結子会社で66億円(同6億円減)を見込んでおり、単体の増減 要因としては、販売数量の増加などで11億円増、原燃料価格の下落・原価低減効果などで30億円増、固定費の 増加で 7 億円減と見ている。連結子会社においては、円高による影響が大きく、6 億円減と見ている。これらは円 高による減少影響額を、単体では約4億円、連結子会社では約20億円含んでいる。
印刷材・産業工材関連では、売上高884億円(前期比8億円増)、営業利益41億円(同13億円増)を見込んで いる。売上高の内訳は、印刷・情報材事業部門が553億円(同12億円増)、産業工材事業部門が331億円(同4 億円減)となっている。印刷・情報材事業部門については、国内では、品質・コスト面での強化によりシェアアップを 図るとともに、ラベルの新需要・新市場を積極的に切り開くことで売り上げ拡大を目指す。海外では、中国をはじめ とする新興国の景気減速により厳しい状況が予想されるが、これまで拡充してきた販売網を生かして拡販を目指 す。産業工材事業部門については、ウインドーフィルムはマディコ社との連携を強化し、国内、米国、アジア地域に おいてシェア拡大を図る。二輪を含む自動車用粘着製品は、拡販・新規受注に注力し、売り上げの増加を図る。
電子・光学関連では、売上高873億円(前期比19億円増)、営業利益102億円(同4億円減)を見込んでいる。 売上高の内訳は、アドバンストマテリアルズ事業部門が438 億円(同 1億円増)、オプティカル材事業部門が 435 億円(同 18 億円増)となっている。アドバンストマテリアルズ事業部門については、スマートフォン市場の先行き不 透明感が強いものの、半導体関連粘着テープ、積層セラミックコンデンサ関連テープについては、ハイエンド製品 の拡販を推し進めることにより、堅調に推移すると見ている。一方、半導体関連装置は減少を予想している。オプ ティカル材事業部門については、性能・品質・コスト面の競争力を高め、テレビの大型化による需要や中小型用途 の需要を取り込んでいく。
洋紙・加工材関連では、売上高393億円(前期比18億円増)、営業利益57億円(同14億円増)を見込んでい る。売上高の内訳は、洋紙事業部門が174億円(同4億円増)、加工材事業部門が219億円(同14億円増)とな っている。洋紙事業部門については、既存品は前期並みを想定しているが、新製品の撥水封筒用紙、隠ぺい性を 付与したカラー封筒用紙、市場から高く評価されている耐油紙などの拡販や海外展開の強化により伸長を見込む。 加工材事業部門については、炭素繊維複合材料用工程紙で航空機用が堅調に推移す る見込みである。一方、 FPCカバーレイ用剥離紙、合成皮革用工程紙などの市場は、厳しい事業環境が続くと想定されるが、コスト競争力
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を高め、差別化を図ることで拡販を目指す。
◆減価償却方法を定額法に変更
設備投資額については、2016年3月期の実績が132億円(前期比54億円増)となった。主な内容は、研究所新 棟の建設、新宮事業所の粘着フィルム塗工設備、三島工場の建物耐震化および調成工程の合理化工事、龍野工 場の粘着紙・粘着フィルム塗工設備、熊谷工場の剥離フィルム塗工設備、平塚事業所の再構築工事、リンテック・ タイランド社の粘着フィルム塗工設備である。今期は、三島工場、龍野工場、熊谷工場、平塚事業所などの継続案 件に加え、熊谷工場での剥離紙塗工設備などに投資を行う予定であり、設備投資額は120億円を予定している。
減価償却費は、2016年3月期の実績が88億円(前期比1億円増)となった。なお、従来は有形固定資産の減 価償却方法として、単体および国内連結子会社では主に定率法、海外連結子会社では定額法を採用していたが、 今期より有形固定資産の使用状況を適切に反映するため、単体および国内連結子会社の減価償却方法を定額 法に変更する。この影響もあり、今期の減価償却費は79億円となる見通しである。
研究開発費については、2016年3月期の実績が76億円(前期比8億円増)となった。今期は研究所新棟の本 格稼働に加え、米国ナノサイエンス&テクノロジーセンターにおいて、テキサス大学とのカーボンナノチューブの研 究開発を積極的に進めていくことから、82億円となる見通しである。
2016年3月期の年間配当金は前期比6円増配の54円(連結配当性向35.7%)とした。今期は連結当期純利 益135億円、1株当たり当期純利益187.10円を前提に、66円(同35.3%)とする予定である。
(平成28年5月16日・東京)
*当日の説明会資料は以下のHPアドレスから見ることができます。 http://www.lintec.co.jp/ir/library/presentation.html
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